Anniversary Diary

心地よい春の日差しが、私を夢の世界へ招き入れようと致します。

眠りの淵の土俵際にて、幾度も戦い、敗北する能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

春でございますね。街を歩く足取りも心なしか軽やかに感じます。

暖かな日差しを浴びて、「これはもうツーリングに行くしかない」

毎日のように、アリア号と赴く行き先を今か今かと考えております。

何をするにしても、当日までの待ち遠しさは中々衰えぬようですね。

待ち遠しいと云えば、アニバーサリー期間が間近に迫っております。

当家のティーサロンも、遂に開館12周年を迎えることになりました。

日頃から当サロンをご愛顧頂きまして、誠にありがとうございます。

本年度も感謝の気持ちを込めて、しっかりとお給仕をしたく存じます。

そして、アニバーサリー期間限定の能見おすすめワインと致しまして、

ワンランク上のプレミアムなワインをご用意する予定でございます。

吟味に吟味を重ねたワインが続々と当館のカーヴに届いて参りました。

ワインの風味、お料理とのマリアージュを是非、お楽しみ下さいませ。

また、開館記念日の3月24日(土)とその翌日の25日(日)には特別に、

ワインをご用命の際には、豪徳寺執事と能見がお席までお持ち致します。

勿論ボトルの抜栓も行いますので、是非お気軽にお申し付け下さいませ。

お料理やお土産もしっかりとご用意をして、お待ち申し上げております。

アニバーサリー期間限定シャンパン&ワインリスト

■Piper-Heidsieck ―ピペ・エドシック―

■Gevrey Chambertin ―ジュヴレ・シャンベルタン―

■Chateau Lagrange ―シャトー・ラグランジュ―

■Chablis Grand Cru ―シャブリ グラン・クリュ―

■Chassagne Montrachet ―シャサーニュ・モンラッシェ―

カーヴ内での状態により、一部変更となる可能性がございます。

無くなり次第終了となりますので、お早めにご用命下さいませ。

能見

Cupid

2018年も早一ヶ月が過ぎ、幾分か世間も落ち着いて参りました。

早くも12周年のアニバーサリー期間が楽しみな能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

世間もお屋敷もバレンタイン一色に染まる季節でございますね。

私も幼き頃からチョコレートが大好きで、とても幸せな季節です。

特にブランデー入りのチョコにはずっと憧れを持っておりました。

大人になったら頂きたいなあ、と幼心に思ったものでございます。

さて。そんなバレンタインを彩る素敵なチョコレートデザート。

その名も、「Cupid―クピド―」。

今年もご用意しております使用人からのバレンタインプレゼント。

是非、その様々なチョコレートが織り成す雅をご体感下さいませ。

クピドをご用命の際、お土産に一粒のチョコレートをお渡し致します。

こちらの一粒チョコ、実は私がお選びしたワインが使用されています。

「オーパス・ワン」と申します、カリフォルニアを代表する赤ワイン。

世界中のワインの中でも最も有名だと言っても過言ではございません。

「オーパス・ワン」とは「作品番号1番」という意味を持ちます。

圧倒されるスケールで奏でられるメロディー、そして甘美な余韻。

幾重にも重なり合うシンフォニーに、心を奪われそうになります。

唯一無二のチョコレートが完成する。私の中で確信に変わりました。

贅沢極まる大人なチョコレートを是非ご別宅でお楽しみ下さいませ。

お味や見た目の感想も、ティーサロンにて沢山拝聴したく存じます。

どうか素敵なバレンタインデーのささやかな彩りとなれますように。

少し早うございますが、ハッピー・バレンタイン、お嬢様。

能見

Prime

無事今年も新年を迎えました。あけましておめでとうございます。

お琴の音色を聞きながら、梅昆布茶を頂きたい能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

年始特有のはんなりとした雰囲気が私は非常に大好きでございます。

いつもの感覚とは何かが違う、切り離された日常と申しましょうか、

普段の慌ただしさがまるで嘘のような街中に心を奪われております。

この雰囲気もあっという間。直ぐに喧騒が戻ってくることでしょう。

さて、お嬢様。今年も勿論行いますよ。能見の冬期講習のお時間です。

題して、新年スペシャル「年号を素因数分解してみよう」のコーナー!!

「数字なんてもう見たくもない…」「新年から気分が底を尽きそう…」

そう仰らないで下さい。是非、本日は数字とお友達になりましょう。

では、早速僭越ではございますが、参りましょう。

2018

= 2 × 1009

……!?

何なのでしょう。この感覚は。素直に喜べないと心が嘆いております。

恐らくお嬢様も同じ感情を抱いていらっしゃるのではないでしょうか。

「何の驚きもないしつまらない…」「やっぱり数学って面白くない…」

お嬢様の心の声が私の脳内に……!! 私は数学者として失格なのでは……。

いや、ここで諦める訳には参りません。光明が差す解答が見つかるはず。

何とか工夫を凝らして、お嬢様に数学の素晴らしさをお伝えしなくては。

今年は和暦で申し上げると平成30年。そして、一年の始まりし月の睦月。

全シナプスがリンクし、最後のピースがことりと嵌った音が致しました。

「3001」は……。

……素数。

お嬢様。この美しき一年を、どうか麗しくお過ごし下さいませ。

素晴らしき一年になりますように私も毎日お祈り申し上げます。

それでは、今年もよろしくお願い致します。

能見

Brilliant

冷たい木枯らしが龍の息吹のように荒れる季節が到来しました。

ジングルベルを目覚まし替わりに起床したい能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

師走という文字通り、ほんの少し慌ただしい毎日でございますね。

移ろいゆく街中も普段より浮足立つような雰囲気を肌で感じます。

吐息が白く、冬の寒空にまるでわたあめのように消えてゆきます。

オリオン座が見えます。あれはシリウスでしょうか、綺麗ですね。

今年を改めて振り返りますと、本当に様々な出来事がございました。

もう言葉では伝えられないほど、沢山の思い出が私の中にあります。

それは決して御伽の国のような素敵で華々しい物語ばかりではなく。

ただ申し上げるならば、後悔のない一年であったと感じております。

そんなことを考えながら、使用人寮の廊下を一人で歩いております。

時折、寮の一室から使用人達の談笑する声が聞こえて参りました。

カウントダウンパーティーの準備をしているのでしょうか。はたまた、

お鍋でも囲んでいるのでしょうか。楽しそうで何よりでございます。

自室の前まで辿り着き、蝶番の軋む音を聞きながら扉を開けました。

凛と静まり返る室内。暗い空間に、カボチャ型のランプを灯します。

皴にならぬよう燕尾服をハンガーに掛け、ベッドへ身を投じました。

ふと横に目をやるとリボンを掛けられた箱が視界に映り込みました。

「こんな箱、うちの部屋にありましたっけ?」

手のひらサイズの小さな箱。私に見覚えは全くございませんでした。

当家の紋章が描かれております。おそるおそるリボンを解きました。

そんな見知らぬ箱の中に入っておりましたのは――

それは本当に綺麗な宝石。

蒼く蒼く光放つ、サファイア。

お嬢様、私から今年最後のご報告です。

私、能見はファーストフットマンに昇格致しました。

このような命を授かりましたこと、光栄に思います。

ありがとうございました。そして、これからも。

能見

Sommelier

紅葉が美しく色鮮やかに街を彩る季節が今年もようやく到来致しました。

はらはらと流れゆく落ち葉を後ろ髪で表現してみたい能見でございます。

お嬢様、お元気でいらっしゃいますでしょうか。

早速ではありますが、お嬢様にご報告しなくてはならないことがございます。

私、能見は2017年度日本ソムリエ協会呼称資格試験に、無事合格致しました。

目指すべき道として、ずっと自身の中で固く掲げていた目標でございました。

このように、お嬢様に吉報をお伝え出来ましたこと、誠に光栄に思います。

一年の間背負い続けていた感情が下りて、今は安堵の気持ちでございます。

張り詰めた緊張が解れ、純粋にワインを美味しく頂けるようになりました。

しかし、ようやくスタートラインに立ったばかりです。より勉学と経験を積み、

お嬢様が当家の誇りと思えるソムリエになれるように日々研鑽して参ります。

そして、11月23日(祝)より「能見おすすめワイン」のご提供を開始致します。

僭越ではございますが、赤と白どちらも一銘柄ずつご用意させて頂きました。

別冊のお品書きにも私のおすすめワインの詳細を記載する予定でございます。

私の気持ちをお受け取り下さいませ。お嬢様の毎日の彩りになれますように。

長い道のりを越えられたのも、日々支えて下さるお嬢様の御陰でございます。

「ワインの世界の扉を開き、ちょっぴり大人な世界を楽しんで頂きたい……」

「このワインをお勧めしたら、貴女は喜んで下さるかな……」

そんな感情が私の決心をより強く、孤独な闘いの背中を押して下さいました。

ありがとうございます。お嬢様の笑顔のため、私はずっと頑張り続けます。

こんな不束者ではございますが、改めてこれからもよろしくお願い致します。

あと二日で提供日。私の胸中に存在するワクワクが止まりそうもありません。

ティーサロンにてご感想を伺えること、私も心待ちにしておりますね。

能見