宇宙が不思議

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈川でございます。

…お嬢様、悪いことは申し上げませんから夜中に宇宙のことを調べるのはお勧めしません。

宇宙が脳の作りに似ているだとか、銀河群の規模だとか、知れば知るほど途方もない…

色々な想像が膨らみすぎて眠れなくなります。これは、眠れない夜。

もう宇宙が怖くなってしまったので、私は今から地球上で今月から復活する大好きなフィグのスコーンのことだけを考えることにいたします。

(ほわんほわん)

クロテッドクリームももちろん良うございますが、バターを塗っても美味しいフィグのスコーン。

芳醇な香りにお口の中で広がる甘さ。

オーブンで温めたときの食欲をそそる色合い。

(ほわんほわん)

あぁ、やはりフィグのスコーンは宇宙と違って怖くなくて大変良いですね。

よし!
私の中で宇宙よりもフィグのスコーンの方が大きくなりましたので、これはもう間違いなく眠れる夜でございます。おやすみなさいませ、お嬢様。

隈川

アイス

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈川でございます。

お嬢様は「あたたかい」と「つめたい」どちらがお好みでしょうか。

何の話?
と思われたかもしれませんが、特に何というわけでなく感覚的なお話でございます。

暖色と寒色
お鍋と素麺
ホットティーとアイスティー
微笑みと冷笑

私は大体の好みが冷たいものに寄っております。
季節は夏が好きですが、それすらも暑い方がより心地よく冷たさを堪能できるからなのではないかと最近気がつきました。

好みの環境と嗜好は相反するものなのかもしれませんね。

そんな私は今ひんやり冷やしたお部屋でひんやりアイスをいただいております。

…え?言っていることとやっていることが矛盾している?
いや、えー…この涼やかな部屋を心地よく感じるのも、暑い夏のおかげということでございます!

今年の夏も素敵な冷たいものを沢山集めたいと思います。突き詰めたいと思います。つめたいとおもいます。

…タイトルでフットマンアイスのお話かと思わせつつ全然関係のないお話で申し訳ございませんでした。こちらも宜しければ是非召し上がってくださいませ。

隈川

読書旅行

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈川でございます。

お嬢様は本はお好きですか。
小説、エッセイ、啓発書、コミック…etc

様々なジャンルがございますね。

私はジャンルを問わず読書が好きです。読書家を自負する方のように年間何百冊というわけにはもちろん参りませんが、目の前に文字や絵が並んでいればどのようなものでも興味を持って読みます。

どうやら、私は用意された時間を受容するよりも自分のペースで能動的に過ごす方が性に合っているようでして(使用人として如何なものかとは自分でも思います…)映画や動画などを観続けるのは疲れてしまうのですが、培ってきた体験、知識に紐付けて自分のペースで言葉を拾って解釈していくことのできる読書がとても楽しいのです。

自分だけの世界に足を踏み入れることを許してくれた著者に感謝しながら、今日も行間をうろうろと歩き回るのです。

離れた場所にいても、同じ本を読み同じ景色を浮かべられたなら、とても素敵だと思いませんか。

お嬢様もどうか素敵な読書旅行を。

隈川

枯れない愛、らしいですね!

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。隈川でございます。

数ヶ月前、私の部屋にサボテンがやってきました。名前はエリオカクタスのエリオくん。

どうやら調べてみましたところサボテンは水やりの頻度が季節により異なるようで、春に差し掛かったこの頃では、ほんの少し彼(?)と向き合う機会が増えました。

よく、植物に話しかけると良い影響があるという話を耳にしますので、水をやりながら人と接するのと同じように話しかけるようにしております。

『花をつけようと焦らないでくださいね』

『美しい花は確かに素敵ですが、それが貴方の全てではありません。そのままの貴方も充分に素晴らしいのですよ』

『私たち人間も目に見える成功だけが人生の全てではありません。幸せの形は自分自身で選ぶものです』

『もしも貴方が萎れても枯れても、私は見捨てたりしません。最後まで側にいますから』

『…って、あ、デリカシーのない例え話でしたか。もちろん、そんなことにならないようにお世話も頑張ります!それにしてもこの窓辺、日当たりが今ひとつなんですよね。そういえば、貴方の花言葉ってー…』

エリオくん、私の一方的な話が長くてうんざりしてるんじゃないか心配になってきました。
「この人間、サボテンに話しかけ過ぎでしょ…人間の友達いないんだな」なんて思われているかもしれません。

花が咲いても咲かなくても良いので、健やかな気持ちで育ってくれたらと願うばかりでございます。

隈川

時間旅行

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。隈川でございます。

お嬢様はタイムスリップをなさるとしたら過去と未来のどちらにおいでになりますか。

現実的ではない戯言と思われるかもしれませんが、たまに大旦那様のおともを仰せつかり馬車に乗っておりますと「このまま馬が加速していけば蹄が炎の轍を作り時をかけるのではないか」と夢想することがございます。(御者がそのような荒い運転をするとは思えませんが)

ちなみに、お聞きしておいてなんですが私はなんとも決めかねます。

確かにいっそのこと消えてしまいたいような失敗も重ねて生きて参りましたが、それを今更やり直そうという気にもなりませんし、逆に未来になんて行こうものなら便利な技術に骨を抜かれ現代に帰りたくなくなってしまうでしょう。

…強いて申し上げるならば、恐竜を見に行きたいくらいでしょうか。

あ、そうだ。
お嬢様がおいでになる方について行くことにいたしましょう。お嬢様がいらっしゃる時代が私にとっての現代とすれば悩むこともございません。

さぁ、お嬢様。いつどこへ参りましょう。

隈川

イト

ご機嫌麗しゅうございます、隈川でございます。

運命の赤い糸…
縁結び…
絆の綻び…

関係を糸に喩えた言葉をよく耳にします。なるほど、確かにと思わされますね。

私は常々、人と人との関係は編み物にも似ているのではないかと存じます。

一箇所、最初の結びを作るのは簡単です。

しかし、様々な場面で増えていく糸が絡まってしまわないように重ねていくためには、どちらかの糸を下に潜らせる必要があります。

特に隙間のない強固な繋がりを築くには、丁寧な思いやりを持って順番に互いを尊重する必要があるのではないでしょうか。

ときには間違い、ほつれてしまうこともあるかもしれませんが、それをどこまで気にするかはその方次第。

ほつれを直すためには一度どこが絡まっているのかを解明し、ほどき、編み直さなくてはなりません。

それには手間や時間がかかる上、もしかしたら同じ形には編み直せないかもしれません。

それでも、諦めず編み続けた先には元の形より素敵な仕上がりが待っている可能性もございます。

逆に少しのほつれくらい気にしない、というのもある種の解決策でしょう。
私はわりとそういうタイプです。

一番悲しいのは小さなほつれや綻びが気になって、編むことを諦めてしまうこと、糸を切ってしまうこと。

例えみっともなくほつれ、穴が空いたセーターであったとしても裸でいるよりはよほど温かいはずのに。
(もちろん、自身を締め付け苦しめるような不要な糸に関しては躊躇わず切ってしまうこともときには大切ですが)

いつでも相手の「意図」を正しく感じ取りたいものでございますね。

隈川

日の名残などを見る度に少し落ち込む

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈川でございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

私ごとながら1月10日で執事歌劇団に入団してから満6年が経ちました。

ステージの上であろうと屋敷であろうと、いついかなるときも使用人であることに誇りを持って務めてきたつもりでございます。

使用人として生きていくと決めてから、英国文化、使用人の歴史や伝統、屋敷でのフットマンとしての在り方を考え続けて参りました。

しかしながら、私が描く理想の使用人像と現実の自分自身には大きな差異があり、それは私自身の本来持っている気質の部分に由来しているようにも存じます。

使用人かくあるべし、という美学に羨望を抱けば抱くほどにコンプレックスは生まれる。

それでも、自分なりのやり方でこれからも使用人としての道を歩んで行くつもりでございます。

まだまだ未熟な手前ではありますがどうかこれからもお傍に置いて下さいましたら嬉しゅうございます。

…あと10年くらい努めたら少しは理想に近づけるのでしょうか。

隈川