魔法のランプ

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈川でございます。

突然ですが、お嬢様は魔法のランプをご存知でしょうか。
千夜一夜物語のアラジンと魔法のランプのお話などにも登場する、お願い事を叶えてくれる有名な道具でございます。(厳密にはアラジンと魔法のランプはアラビアンナイトとは関係ないそうですが)

この「魔法のランプを知っているか」という質問を投げかけたとき、だいたいの方は「知っている」と答えるでしょう。

しかしながら、私、その魔法のランプについて昔から気になっていることがあるのです。

…あの形、どこに火を灯すのでしょうか。

…そもそも、あれは照明器具のランプと同義のランプなのでしょうか。

むしろ、カレールーを入れるグレービーボートの方が形状として近いのではないでしょうか。

もやもやもやもや。
気になって仕方がございません。

…調べてみましょう。

…え!?ヘェ〜…

…インドではカレーは料理名じゃあないんだ。ヘぇ〜。
なるほど、なるほど、もともと「ご飯にかけるもの」という意味のカリが英語で訛ってカレーに転じて料理名に、なった、と。



いやはや、勉強になりました。
やはり知識欲を満たすのは楽しいですね。

お嬢様、明日のご夕食は本場のスパイスを程よく調合したカレーなどいかがでしょう。私、張り切ってチャイを淹れますね!

あれ。
何か忘れているような。
…きっと気のせいですね。

隈川

追記:魔法のランプの形状は昔のオイルランプの仲間で、細まった口の部分から中のオイルに灯芯を浸して火を点けるそうです。やはり照明器具でございました。

笑う門には福来る

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈川でございます。

辛い杉花粉の季節も過ぎ去り、風には初夏の香りが混じり始めたこの季節、お嬢様は如何お過ごしでしょうか。

この少し複雑な季節、お召し物選びに手間取ったりすることもあるかもしれません。暖かくなったとはいえ、油断はなさらず。念の為、羽織物の一枚はお持ち歩きくださいませ、お嬢様。

そういえば、最近、佐々木と才木と浪川が話しているのをこっそり近くで眺めるのが私の細やかな楽しみでございます。

いつもわちゃわちゃと楽しそうで、なんだかこちらまで元気になります。

3人とも個性的ではありますが、とても頼りになる使用人仲間たちです。彼らの笑顔は見習わなくてはなりませんね。

特に佐々木は私が紅茶係のときに甘いアイスティーを淹れると満面の笑みで美味しそうに飲んでくれるので、淹れ応えがございます。
やっぱり表情って大切ですね。

お疲れが溜まってしまったときに、私もお嬢様の笑顔を引き出せるような使用人でいられますように。

隈川

桜の下には

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈川でございます。

テキサスのヒューストンへとお勤めに参りまして、帰国までの一週間。
その一週間で桜色の花びらは見る影もなく新緑に染まっておりました。

昔から桜の木の下には〜…なんていうお話がございますが、そうでなくても私は桜の下には近づけません。

もうじき、私の天敵たちがうねうねと陽気なダンスを踊り出す頃でしょう。

うーー考えただけで鳥肌が。

お嬢様もこの時期は木陰での読書より快適な室内のハンモックにしましょう!そうしましょう!ね!

隈川

ハルノオトズレ

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈が…あ。

…失礼いたしました。
ご機嫌麗しゅうございます、姫様。
隈川でございます。

先月はティーサロンにて自身の考案した紅茶のババロアを用意する機会を賜りましたこと、改めてお礼申し上げます。誠にありがとうございました。
お気に召して頂けていたら幸いです。

気がつくと春の気候も近づき、次第に日差しも暖かくなりました。

この頃になりますと、ファーストフットマン水瀬とともに何かしら特別な物をご用意するのが毎年の恒例になりつつございます。

今年は久々のエクストラティーをティーサロンにて振る舞う予定です。

春の訪れとともに、テンポの異なる二つの音が重なって不思議と心地良いズレが生まれる。
そんなイメージで命名致しました
「ハルノオトズレ」

同期の使用人2人による3月3日限定の特別な紅茶、心ゆくまでご堪能下さいませ、姫様。

当日はパティシエ特製のひなまつりパフェもご用意するようです。個人的にはこちらも大変楽しみでございます。

隈川

揚げニンニクはシュトロイゼルではありません

ご機嫌麗しゅうございます、お嬢様。
隈川でございます。

私は今、給仕や執務を終えた環、百合野、伊織と一緒に、夜の外食に来ております。

つまるところ、お夜食会でございます。

環「この時間の食事は体に良くありません、ですが」

百合野「それでも、たまに食べたくなってしまうんですよね」

二人の言葉に深く頷きながら、ふとテーブルに並ぶ調味料に目が行きます。

隈川「…シュトロイゼルみたいなのがある」

伊織「それはフライドガーリックだよ」

諭すように穏やかな口調で教えてくれました。

意味があるような、ないような会話。
お夜食時にはこれくらいが丁度いいのです。

お嬢様がお休みになられた後の、使用人だけでのささやかな贅沢です。

明日も朝は早いのですが、話題も尽きないので、もう少しだけ。

隈川

ミーシュカ

昨年は大変お世話になりました、お嬢様。隈川でございます。
本年も宜しくお願い致します。

新しい年を迎えて、数日が経ちました。ことお嬢様におかれましてはこれからまた忙しくなるであろう社会勉強、学業など、これから先の目標に向けて張り切っていらっしゃることかと存じます。

そんな風に頑張っていらっしゃるお嬢様の傍で、フットマンとして私も何かお役にたつことができないものかと日々考えておりました。

そこで、お疲れの出ているときや体調の優れないときにも安心して召し上がることの出来るノンカフェインティーのブレンドを新しく作りました。
名前を「ミーシュカ」と申します。

桃の香りを添えて飲み易く仕上げた「ピーチルイボスティー」をベースに、健康や美容、疲労回復などのそれぞれに優秀な効能が期待できる「隈笹」とむくみや冷えを解消する「スイートクローバー」を加えた飲み物でございます。

ノンカフェインとは思えない飲み易さ、和菓子のように甘く優しい香りはストレートティーとしても、お砂糖を加えたミルクティーにしても美味しくお楽しみ頂けるはずです。

お嬢様がどのような状況に置かれてもゆとりある心を思い出せるよう、心を込めてミキシング致しました。

お疲れの時には無理せずお休みなさっても良いのです。焦らず慌てずご自身のペースで頑張りましょうね、お嬢様。

さて、折角の年の始めですから私もゆとりを大切にお餅でも焼いて頂くことにいたしましょう。
忙しいときこそ心にゆとり「をもち」ましょうね。もちもちもぐもぐ。
もちもちもぐもぐ。

隈川