敬愛せしお嬢様へ

夏の暑さが少しづつ本格化して参りましたね。
アイスティーの美味しい季節ゆえ、当家ティーマイスターも今年の茶葉に合わせたレシピの見直しに余念なき様子でございます。

お嬢様におかれましては、サロンではもちろんのこと、お散歩中や社会勉強中なども、こまめに水分をお採りいただき、熱中症予防にお勤めくださいますようお願い致します。

さて、そんな夏の日々でございますが

先日、夜遅くに所用から戻りまして、とある近隣の河川付近を一人歩いておりました。

川の音と水面からの風が心地よく、
良き夏の夜よとゆっくり歩みを進めておりましたら

ふぃ、と。
青い小さな光が鼻先を横切りました。

そのまま、その小さな青い光点は、
私の眼前をゆらゆらと飛び回っておりました。

あまりに綺麗で。そして風流なき話ではございますが、あまりに生命感の無い機械的な光だったもので

はて新手のドローンか携帯機器かと
正体がさっぱり掴めぬままその光を眺めておりました。

光は誘うように私の前をゆらゆら飛び回ったのち
川縁の庭園にフラりと舞い降り、その羽を休め始めました。

「あぁ、蛍か。」
蛍を見たことがないとは申しませんが。
博物施設や尾瀬などの名所に見に行くでなく
このような町中で突然遭遇すると言う経験はなかったもので
しばらく呆然とその光を眺めておりました。

見れば見るほど不思議な青い光。

昔の方々が、この光に様々な神秘を見いだした気持ちも良くわかる気がいたしました。

…それはそれとして、暗くて写真が撮れません。

神秘に魅せられながらもカメラは用意してしまう辺り、私も現在に染まっているなぁと思いつつも。
あれやこれや工夫してその姿を収めてまいりました。

明るくしたら青い光が見えなくなったので、あまり意味がありませんでしたが。

いつかまた。
この不思議な光をお嬢様にも今一度お見せしたいものでございます。

マルガリータ

敬愛せしお嬢様へ

初夏の暑さが少しづつ響いてくる日々、ご健勝にお過ごしであられますか?

此度、六月の前半にて「フットマンアイス」をご用意させていただく事となり。
初夏や梅雨の疎ましさを振り払うような爽やかなお品をと思い立ちまして

カクテル「マルガリータ」をイメージ致しました
『マルガリータ ソルベ』をお届けさせていただきます。

本来はテキーラを用いた風味深いカクテルでございますが
おそらくアルコールのご提供が難しかろうと思い、
「アガペ・シロップ・テキラーナ」と申します
テキーラの原料でもある竜舌蘭を用いたシロップを入手して参りました

こちらのアガペ・シロップにオレンジピールとフレッシュなライム果汁を合わせまして
配合率を変え、柑橘の酸味に寄せた白いソルベと、柑橘の甘味に寄せた青いソルベを盛り合わせ、

お口に入れる2色のソルベのバランスにより、甘味や酸味の変化をお楽しみ頂きながらお召し上がり頂けるようにご用意致しました。

ほのかにお掛けした「フルール ド セル」…上質のお塩が酸味と甘味を更に引き立てております。

ぜひご賞味くださいませ。

さて。
ここで終わってはただの宣伝でございます。

そしてここからは、愚にもつかぬ小話でございます。
ほんのひとときでも、無聊の慰めとなれば幸いでございます。

今回のモデルとなりましたカクテル「マルガリータ」は、テキーラにオレンジキュラソーと柑橘を加え、お塩を添えてお作りする、クラシックなカクテルでございます。

なお「マルゲリータ」はピザでございます。
もちもちの生地に新鮮なトマトとバジルとチーズを乗せて焼き上げる、伝統的なピザの名作でございますが今回は関係ございません

1949年。カクテル文化の黎明期に行われた世界的なカクテルコンクールにて入賞した作品であり、
グラスの縁にお塩をまぶす「スノースタイル」という技法が、今日びのカクテル文化では定番のひとつでございますが、当時としてはとても革新的な技法でございました。

そして考案者であるバーテンダー、ジャン・デュレッサーはこのカクテルを、不慮の事故で失った恋人に捧げるカクテルだと語りました。

狩猟に興じていた際に、事故により逝去した恋人「マルガリータ」。

その明るさを太陽のようなテキーラで。
優しさを甘くフルーティなオレンジキュラソーで。
そしてその存在を失った悲しみの涙を、添えたお塩で表現したカクテルであると。

その悲しい逸話は世界的に知られることとなり、
特にジャン・デュレッサーの故郷であるロサンゼルスのバーでは、マルガリータが大流行致しました。

しかし。

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その後。
非常にバツの悪そうな顔でとあるパーティーの壇上に登場したジャン・デュレッサーはこう語りました。

カクテルにロマンティックな逸話を添えて、眼前のお客様がたを楽しませようと、創作の物語を添えてしまったけれど、
不慮の事故で死んでしまった恋人などいないと。

と申しますか、恋人のマルガリータ嬢はこの当時も当然ご存命でして。
勝手に逸話のなかで殺されてしまい、えらくご立腹の恋人を宥めるために
ジャン・デュレッサー氏はやむなく「嘘の告白」のためにパーティーまで出向いてきた次第でございました。

そんな落ちまでついたマルガリータ。
カクテル言葉は表向きの逸話を採ってか「悲恋」でございますが。
これを凍らせてシャーベットにした「フローズンマルガリータ」のカクテル言葉は

「笑顔を見せて」でございます。

二色のマルガリータを良く冷やしてご用意した今回のソルベも
お嬢様に笑顔になっていただけるお味であれば、幸いでございます。

モーニングルーティン

世の中がこんな塩梅でございますと
日誌に認めますことも限られて参りますね。
このご時世になりて生活のなかで増えたことと言えば、料理と勉強と読書とトレーニングぐらいでございます。

…修行中の僧侶か。

そんな自分ツッコミを心中で呟きつつ、何を日誌に認めるべきかと考案いたしますが
料理やカクテルのお話ばかりを続けると、そのうち執事日誌がレシピブックになりそうです。

かといってお散歩日誌ばかりも悩ましいところです。
いや先日、某河川をなんの気もなくどこまで歩けるか川沿いを歩き続けてうっかり遭難いたしましたが。

ペットの紹介をするのも定番でございますね。
大変アグレッシブで話題に欠かない子ではございますが、
日常は寝ているか食べているかのどちらかでございます。案外日誌とまでなりますと特筆すべき事はございません。

さて、いかがすべきかと友人に相談したところ。
世間には「モーニングルーティン」や「ナイトルーティン」というものがあると聞きました。

果たして初老男性のモーニングルーティンとやらに日誌といて閲覧頂くに足る価値があるのかは訝しい限りでございますが、物は試しと筆を走らせてみましょう。

am5:30
何故か一回この時間に目が覚めます。
早起きすべきかと動きかけたところで大体猫パンチを喰らい、寝かしつけられます。

am6:30
起床いたします。
偏頭痛を防ぐため、身を起こす前にこめかみから耳周り、首筋までセルフマッサージを行ってから床を離れます。

整体師の友人に習ったものでございますが
日常的な偏頭痛や肩凝り、目の疲れなどにお悩みの方にはおすすめの習慣だそうでございます。
ぜひお試しくださいませ。

目覚めが悪いときはついでに腹筋運動をしてから起きます。
ドタバタうるさいのか、周囲でまだ猫が寝ている場合は、面倒そうにシャーと怒られます。

am6:35
目覚めにアーリーモーニングティーを淹れる…という習慣であれば、当家の使用人らしいのでしょうが
生憎と朝一番に冷蔵庫から取り出すのは、缶コーヒーと20年前から決まっております。

冷たい缶コーヒーを一気飲みし、乾いた喉を潤してから、皆で軽い朝食をいただきます。

…缶ビールじゃないのかって?
…それはお休みを頂いている日だけでございます。

am6:45
朝食はサラダとシリアルとトマトジュースです。
トマトジュースは私の主原料のひとつでございます。
サラダにはかなり凝っている方でございまして
菜のものや根菜、かなり変わった野菜やハーブまでいろいろと試しております。
ドレッシングにも一家言ございますので、機会があればそれも日誌に認めると致しましょう。

am7:00
朝食を終えたらお風呂をいただきます。
朝風呂派です。夜はいつもシャワーで済ませ、朝にしっかり入浴いたします。
長風呂です。いつも心配になるのか猫が様子を見に来ます。そしてお約束のようにお風呂に落ちます。

am8:30
タオルでよく拭いて乾燥タイムです。
このときついでに、朝の執務を片付ける癖がございます。
そのため、朝に処理を行った時任の書類は、インクに水滴の滲みが多く、諏訪野から苦情が届きます。

am9:30
乾きましたら、髪はとりあえず椿油で軽くまとめて
お屋敷までの散歩道を通り出勤いたします。
執務用以外の、いわゆる私服は「面倒なのでスーツ」と最近定めておりますが。そろそろ暑いので一考が必要かもしれません。

なお、日常的に指輪を二つ着用しておりますが。
実はお屋敷の職務において、毎日必ず行うべき勤めをうっかり忘れないための措置でございます。

その日常の大事な勤めを果たしたら指輪を外し、ポケットにしまうのでございます。

つまり、もしうっかり時任がサロンにて指輪などしておりましたら、大事なお仕事を何か忘れておりますので、大変恐縮ながらご指摘くださいませ。

こうして、モーニングコートに袖を通し、いつもの一日が始まる流れでございます。

見返してみると朝の習慣は、一日をしっかり過ごすためにも大切でございますね。

お嬢様もどうか、今日もよき朝を迎えておられますように。

敬愛せしお嬢様へ
ようやく春らしく暖かくなりましたね。
春の果実も数多く届きましたゆえ
パティシエたちがお嬢様にお届けするデザートの開発を張り切っております。

我々も負けじと、よき春の杯をお届けできるよう努めてまいります。

桜はご覧になられましたか?
今年はずいぶんと早く咲き、ひっそりと散っていきました。
花見の宴と言うのは難しい時勢でございますが
季節の雅を楽しまぬのも無粋かと思い
時任も時間が空きましたときにふらりと桜を眺めに出掛けることもございます。

毎年、夜空に白く光るような夜桜が好きで飽きもせず見ておりましたが、お昼の暖かな日差しの中の桜も良きものでございますね。

人気の少ない公園で、のんびりと桜を眺めながら、お茶をいただき休憩するのも良きものでございます。

暖かい日差しと濃いめのお茶は相性が宜しゅうございますね。心がなごみます。

これで柴漬でもあれば極上でございましたが、それは別邸に帰ったらにいたしましょう。

私事ながら。
毎年、お正月とお花見が友人たちと集まれる機会でございましたので。
人が集うのが厳しい昨今、なかなか友の顔を見ることも叶わぬままでございます。

まぁ。どれもこれも強かな友でございますから
さほどの心配も要りますまいが
各々の健勝を桜に祈るぐらいは、許してもらえる範疇でございましょう。

ひとときの休息を楽しみ、職務に戻ることといたします。
良き休憩となりましたし、張り切って勤めるといたしましょう。

あ、そうだ。

帰りに漬け物コーナーで柴漬を買って帰ろう。

気の向くままに

敬愛せしお嬢様へ

春の日差しが見えたかと思えばまた寒く
三寒四温の名の通り、なかなか春の香りは感じながらもコートを手放せない日々が続いております。

こうなるとお暇をいただいた日も、ついつい暖かい自室から出たくなくなってしまいますが

これではならぬと。
よき絵画の題材探しも兼ねて
街の散策に出て参りました。

時勢もありて、なかなかお出掛けの叶わぬ風潮もございますが、ひとり野外をそぞろ歩くのには支障もございますまい。

そんな思いを抱きひとっ走り、降り立ったのは御茶ノ水駅。
聖橋口に砂糖醤油で風味をつけた焼き煎餅やさんが露店を出していましたので、早くも食べ歩きの一歩目を記してしまいました。

様々なお店がテイクアウトを許してくれるところだけは、便利でございますね。

神田川を跨ぐ、風情ある聖橋を渡り、
湯島聖堂の樹々が新緑色になっているのを眺めながら歩を進めます。

冬のお散歩は肌寒いですが、日差しが優しいのは助かりますね。

湯島聖堂沿いに道を辿り、道路を渡って神田明神へ。

お正月は屋台で賑わう参道も、なにもない日は静かなものですね。

少し冷えていましたので、
参道入り口近くの馴染みの茶屋で、名物の甘酒を所望して体を暖めます。

もう茶屋内でも頂けるようなのですが、いまは自制してテイクアウトでお願い致しましょう。

甘酒とは不思議な飲み物ですね。
本当に度数の高いアルコールのように、冷えた体がすぐに暖まります。
お屋敷でももっと導入するべきでしょうか。

考えつつ参道を登り、神田明神境内へ
人がいないときの神田明神は、こんなに広いのですね。

まずは参拝を済ませ。
そしてとても近代的な文化交流館へ。

神社境内に、刻々と表示を変えていく大型ディスプレイが幾つも並んでいるのはちょっと不思議な光景でございますが、こちらは「インターネットの守護神」というとても近代的な神格もあられるそうで、ある意味納得でございます。

ここの名物である「神社応援(ジンジャーエール)」を購入しまして、心地よい生姜の風味を喉で感じましてから、境内をお散歩させていただきました。

昔、若者が力比べをした大石や、江戸最古の地神であられるスサノオミコトの江戸神社などがございます。

銭形平次の碑なども高名でございますが。
この碑のそばに小さく「八五郎の碑」があるのはご存じでしょうか?
おそばに寄る機会があったら探してみてくださいませ。

さて。神社裏手の小階段から街に戻り
まさかの、鰻屋さんのテイクアウトに遭遇して
よき香りに心奪われながらも、自制して歩を進めます。
…自制して、鰻串を買い求めるに留めました。

そのまま、神田明神下の街並みを眺めながらぐるりと回り。

清水坂に向かいますと、昔からのカレーの名店がスープカレーをカップで店頭販売しておりまして。
スパイスの香りに心奪われそうになりながら歩みを進め

そのまま、レトロな喫茶店を散見する通りを上って参りますと、この時の止まったような店内でゆっくり過ごしたい誘惑に駆られつつも、テイクアウトをしてくださっていた店舗で暖かなミルクティーを買うに留めました。

…スープカレーとミルクティーは微妙に合いませんね。

チャイにすればよかった。

そのまま暫し脚を進めますと、湯島天神が見えて参ります。
軽く参拝させていただき、良き天候のもと庭園へと足を進めます。

こちらの梅園が本日の主目的でございましたが、
さすがに人手がいささかございましたので、庭園内ではなく、やや外れに陣取りまして、絵画資料用に写真など撮って回らせていただきました。

来年は落ち着いて、梅の花の真下を歩きたいものでございますね。

庭園の来訪者目当てか、こちらには露店もいくつかお見かけしました。
あまりジャンクな食事は良くありませんから、ほどほどに致しましょう。

…牛串と広島風お好み焼きと、土手煮美味しゅうございました。

さて、湯島天神を裏手に抜けて上野方面に向かいましょう。

旧岩崎邸にもお伺いしたいところでしたが、いまは臨時休館中のようで外観のみ拝観いたしまして

そのまま上野恩賜公園にお邪魔いたしました。

不忍池の蓮や水鳥たちを眺めながらぐるりと一周。
穏やかな気候がとても心地よいひとときでございます。

弁天堂や千手観音堂を巡り、公園の茶屋で新芽が芽吹いているのを眺めながら一休みというのが理想でございましたが

やはり茶屋もやや人が多く居られましたため、
使用人の身としては遠慮させていただき、
レトロな売店のお婆様から缶コーヒーを購入し、公園のベンチにて新芽を眺めながら一息つくことに致しました。

…え?ここはお団子も美味しいんですか。そうですか。ひとつ頂きます。
…ほう。みたらしが鉄板だけれども、手作りの餡ころも絶品ですと。では、ふたつ頂きましょう。

コロコロとお婆様に団子のように転がされて、一息どころか間食タイムになりました。
緑茶の香りがよく合います。
あ、緑茶はサービスで頂きました。

ようように日も傾きまして、夕暮れの気配。
このまま御徒町方面に向かいアメ横市を廻ってみるも、神保町に足を伸ばして書物を漁るのも魅力的ですが、その辺りはもう少し世の中が落ち着いてからのお楽しみでございましょうかね。

ガード下でちょっと小腹を満たして帰れないのはなんだか寂しい限りでございますが、

何故だかとってもお腹がいっぱいなので、
気にせず帰ることに致しましょう。
上野駅前の伝統的な商店街が、早めの店じまいを進めているのを横目に、帰途につくことに致しました。
…おや?名店のシチューがレトルトでテイクアウトできるのですか、そうですか……。

お嬢様。
なかなか羽を伸ばすのも難しいご時世ではございますが、
たまには、適度に気を付けながら
気ままに散歩を楽しむのも良いものでございますよ。

ぜひ気晴らしに、気の向くままにお出掛けくださいませ。

春待ちのブランデーショコラータ

敬愛せしお嬢様へ
早くも暦は2月となり、月日の経つ早さに毎度驚いてばかりでございます。
お外の寒さも厳しくなって参りましたゆえ
大旦那様の御指示のもと、2月のマンスリードリンクとして「ホットショコラータ」をご用意致しました。

当家としてもホットショコラータのご用意は始めてで、お味の調整たる大役は緊張致しましたが、
皆も協力を得てどうにか完成に漕ぎ着けることができました。

甘さ控えめのチョコレートを選びまして、コクを出すために濃厚に入れたエスプレッソを合わせ、
ラズベリー・クランベリーなどのフルーツを煮詰めて、隠し味はほのかな甘味のマスカット果汁とアニスでございます。
ホイップクリームを表面に溶かして口当たりを整え、アルコール入りはブランデーを浮かべて香り付けを行いました。

ぜひお召し頂ければ幸いでございます。

甘いものがさほど得意ではない時任でございますが。
チョコレートとは多少の縁がありまして。
遥か過去、少々体調を崩し、体が食べ物を受け付けなくなり、自宅に居ながら食料が採れないセルフ遭難状態に陥りましたとき

ふと、登山家の友人から聞き齧った「いざというときはチョコレートが一番生存率が高い食べ物なんだ。」という言葉を思いだし。

もそもそとチョコレートを探しだして口にしてみたところ。体が受け付けてくれて。そこから一気に体調が好転した経験がございます。

体調もさることながら。
あやうくセルフ遭難して瀕死になり折れかけていた心にその甘さはあまりにも優しく。

「チョコレートの甘さは、幸せを感じたときの心の動きと同じものだ。」

という某パティシエの言葉が実感としてよく理解できたのを覚えております。

もちろんお嬢様は決して遭難などしてはなりませんが。

この一欠片の幸せを、暖かさを。
お嬢様の寛ぎのひとときに添えることができたら。
そんな願いを込めて、レシピを編み上げました。

春の暖かさ、優しさを想う
「春待ちのブランデーショコラータ」
ぜひ、お召し上がりくださいませ。

明日からまた

敬愛せしお嬢様へ

新年明けましておめでとうございます。
どのようなお正月をお過ごしでしたか?
少しでもお心やお体を休めて頂けたなら幸いでございます。

当家使用人たちにも休暇を賜りましてありがとうございます。
使用人一同。
体調を整え、英気を養いまして、明日よりまたお嬢様に全力でお仕えさせて頂く所存でございます。

……お正月ボケや飲み過ぎでグロッキーな使用人など一名たりとも居りませんとも。ええ、居ませんってば。

本年がまた、一段とお嬢様にとって善き年でありますように。
微力ながらその一助となれますよう、勤めさせていただきます。

本年もよろしくお願い申し上げます。