お屋敷の雑学/壱

敬愛せしお嬢様へ。

桜がいつのまにか咲き始め、春も近いことを告げております。
また季節が巡りましたことを知り、感慨深く桜を眺めておりました。
街に出ましたら、「新生活の応援」と銘打っての家具や日用品の特売が盛りでございまして。
世はそういう時期なのですね。と感慨深く思いながら、新生活の予定は全く無いものの有り難くお屋敷の日用品などをお得に補充させて頂きました。

春になって新しい生活に挑まれる方も多いでしょう。
新しくお屋敷の門を叩く使用人候補も増える頃でしょうか。
あるいは新生活に入られてから、初めてティーサロンにお越し頂くお嬢様もいらっしゃるやも知れません。

さて、思えばお屋敷の歴史も長く、気付けば13周年を迎えました
かつてはお屋敷の在り方や歴史的知識については、前任の執事たちが厳しく教示を勤めておりましたが、近年はそういった黴臭い教鞭を取る者もなくなり久しゅうございます。

ふと思い立ちました。
このまま春を迎え、お戻り頂く新しきお嬢様がたにお屋敷のなんたるかを如何にお伝えするべきかと。
また、無垢な瞳の新しきお嬢様がたにお屋敷の伝統を問われて、お答えに窮してしまうお嬢様が居らっしゃったりしないかと。
そこで、この日誌の端っこをお借りしまして。

『今さら聞けないお屋敷の雑学講座』

そんなものを数回ほど、駄文ながらお届けしたいと思います。

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東京駅探索

敬愛せしお嬢様へ。

冬もいよいよ本格化しておりますね。
お休みの日にお出掛けするのもなかなか大変な気候でございます。

そんな気候の中、時任がお勧め致しますお出掛けスポットがございます。
それは、、、
『東京駅 地下』でございます。

あまり名が轟いてはおりませんが
東京駅の地下街は、他の都内駅と比べても呆れるぐらいに広く
そして季節折々のイベントや、様々なテーマに分かれた「ストリート」ごとの名店が溢れ返っておりまして、一日かけても巡りきれぬアミューズメントパークのごときでございます。

やはり飲食店が多うございますが、懐かしいオモチャ屋のようなテンポや、地域のアンテナショップ、芸術的なケーキを飾るお菓子の銘店など、お散歩にそぞろ歩いているだけで様々な発見がありとても楽しゅうございます。

そんな東京駅地下を散策したあとは、伝統あるビアホールで一息でございます。

大変広い店舗の一角で、懐かしいデパートの食堂のような食品サンプルに目を奪われながら、ドイツ風の陶器ジョッキでご用意頂ける麦酒に喉を潤され、そして名店ながら非常にリーズナブルでボリュームある食事にお腹を満たされ、夢心地でございました。

冷え込みが厳しい休日や、雪の日など、お外のお出掛けが億劫なときは。
ちょいと東京駅に参りましての探検などいかがでございましょうか?

探検なさって良い場所を発見なさったら、ぜひ使用人たちにも教えてくださいませ。

新年のご挨拶

敬愛せしお嬢様へ

新たな年となりましたが、いかがお過ごしでございましょうか。
日頃お忙しいございましょうから、この機に少しでもお身体を休めてくださいませ。

当館スワロウテイルは、新年は4日から門を開かせて頂きます。
本年もきっと色々なことがあるでしょうが、お嬢様の笑顔の御為に勤めるという初心を忘れることなく
本年も使用人一同それぞれに精進して参ります。

何卒、お嬢様方におかれましては
新年もどうか元気な笑顔で、ティーサロンへとお戻りくださいませ。

お待ちしております。

苦いビールが襲ってきたら

敬愛せしお嬢様へ
年の瀬も近くなりまして、巷もなにやら慌ただしくなって参りました。
社交におけるパーティー等も多く、お酒をお召しの機会も多くなるのではないでしょうか。

さて、この国でパーティーのお酒となるとベーシックに顔を見せるのが「ビール」でございましょうか。
お酒と言うジャンルのなかでもっともポピュラーであり、
「とりあえずビール」なんて言葉があるように、パーティの円滑なスタートのために最初の一杯が自動的にグラスビールになっていたり、お世話になってる方や恩師など目上の方から宴の席にて「一献どうぞ」と注いで頂いてしまったりと。なにかと望む望まずに関わらず口にするお酒でございますね。

(※アルコールそのものが苦手な方は、明快にそう申し上げてお断りしてもなんの無礼もございませんし、対応考慮されて然るべきところかと存じます。
最近よく囁かれますコンプライアンスに基づく、お酌行為や懇親会等への不参加自由についても、個人の権限は保証されるべきと存じますので、それらの非順守を肯定する意図はございません。コンプライアンスについては、時々「弱者の権利」が肥大化して本質を見失っている感はございますが。)

さて、そんなビールでございますが。お好きな方なら良うございますが苦手な方には中々の苦行でございます。
苦味がどうしてもダメという方のために、簡単なビアカクテルにしてしまう小技をお教えいたしましょう。

1、 炭酸飲料と混ぜる
ポピュラーなところですとジンジャーエールと混ぜる「シャンディガフ」がございますが、
日本のビールと炭酸飲料は、以外となんでもお味が合います。
コーラ、レモネード、スプライト、サイダー。なんでもありでございますね。
割合1:1で混ぜ合わせるのがよろしゅうございます。

2、 ジュースと混ぜる
トマトジュースと混ぜると「レッドアイ」というカクテルになりますが、ジュースも色々合わせられます。どちらかと言うとトロッとしたもの、濃厚なものの方が合うようでございまして、桃やマンゴー、メロンなどが鉄板でございます。
オレンジやアップルなども良うございますが、甘さが足りない場合はちょっとシロップを足した方が味がまとまります。
3、 ワインと混ぜる
甘めの白やスパークリングが無難ですが、赤ワインでも行けます。
ロゼワインが一番向いている気が致します。絶品でした。
白かスパークリングなら1:1で。赤なら1:2ぐらいの比率がよろしいかと。
甘さが強い方が美味しいので、物足りなければちょっとだけシロップを足すのが良うございます。

そんな小技の数々でございましたが、
ご別宅でビールが余った際など色々ご活用いただければ幸いでございます。
「苦いのが嫌なら、カクテルにしてしまえば良いじゃない。」
かつてマリーアントワネット王妃もそう言っておりました。
ちょっと違った気も致しますが、多分大差ございません。
世間の荒波が理不尽ににがいびールを押し付けてきたとしても、
自らの手で美味しい飲み物を勝ち取って、ぜひ素敵なパーティをお楽しみくださいませ。

止まり木

敬愛せしお嬢様へ。

嵐がひとつ過ぎる度に、秋へと一歩づつ近づいているようでございます。
肌寒い日もございましょうから、ご面倒でもお上着はお持ちくださるようお願い申し上げます。

さて、お嬢様には馴染みの場所というのはございますか?
街中のカフェの決まった席。河辺の眺め良きベンチ。あるいは庭園の木陰。
まるでもうひとつの家のように、そこに居れば一息つけるといった場所が人にはございます。
私にとってそれは長らくの間、とある地下のバーでございました。
数年前に疲れはてた身を引きずり歩いていたある夜に、漏れ聞こえてきた楽器の音に惹かれて足を踏み入れたそのバーに、いつの間にか日常の一部のように足を運ぶようになり、多くの夜をこの場所に身を浸して越えて参りました。

多くはただ良き音に揺られながら静かに。時には賑やかに、希に混沌とした、数えきれぬ夜を過ごしたこの馴染みの場所でしたが、看板を下ろし眠りにつくこととなりました。

私的にはもちろん残念でございますが、時間は大河のように流れ、人は常に歩みを進め、それと共に全ては移ろうものでございます。
ただただ多くの感謝をこのカウンターとバーテンダーに贈り、記憶の中に仕舞うと致しましょう。

多くの寛ぎと音と時間に感謝を。
バーとはその名の通り、止まり木のように一休みできる場所。
私も、多くのノイズに惑わされてその本質を失うことがないように、思い上がらず、表層に惑わず、されど妥協せず。

ただ歩んで行こうと思います。

睡眠法

敬愛せしお嬢様へ
ドアを守っておりましたら喧しく蝉が鳴いておりまして、夏も本番だなぁと感じる日々でございます。
食が細くなりやすい季節にございますれば、少食なりともお食事はちゃんと三食お摂り頂くようお願い申し上げます。
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鬼の笑うケーキ

敬愛せしお嬢様へ。

雨の季節となり、窓を流れる雨粒を眺める日も多くなっておりますでしょうか。
お出掛けがなかなか叶わぬとお嘆きやも知れませぬが、季節は文化を育むもの。こんな季節は屋内にて、溜め込んだご本を読まれたり、映画鑑賞を楽しんだりなさる時期とお考え頂き、お楽しみくださいませ。
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