映画の中のプリンセス

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

 

本日は雛祭り当日でございました。
その伝統行事にちなみまして、お屋敷では月の半ばまで皆様方を、本来のご身分にふさわしく、“姫様、殿下”とお呼びいたしております。

 

少々、気恥ずかしく感じられることもあるかと存じますが、これも高貴なるご身分の宿命。
また、たとえ半月ほどのこととはいえ、本来のご身分通りにお呼びできるのは、使用人にとって、大変にうれしく、名誉に感じられることでもございます。
いつも以上に、その呼び方にふさわしく堂々とお振舞い下さいませ。

 

“姫様”と申しますと、やはり司馬の得意分野である映画の話をせずにはいられません。
かの名高きディズニー作品では、世界初のカラー長編アニメーション「白雪姫」を筆頭に、数多くのディズニー・プリンセスたちがスクリーンを彩りました。
時代を経ていくにつれて、ただただ白馬の王子様を待つだけではなく、運命を自ら切り開いていくような、活動的なヒロインが主流になっていくのは、興味深いことでございますね。

「ローマの休日」では、オードリー・ヘプバーンがあどけなさと気高さを兼ね備えたアン王女を魅力たっぷりに演じられていました。
日本が誇る娯楽映画の巨匠・黒澤明監督作品、昭和三十三年に公開されました「隠し砦の三悪人」では、凛とした瞳と野性味あふれる力強さが印象的な雪姫が登場いたします。

 

いずれも、周囲の者たちが有無を言わさず意思に従ってしまうような、力強くあっても決して威圧的ではない雰囲気を漂わせていて、当時の映画ファンたちはこぞって虜になったと伺っております。

 

ちなみに、映画に登場する数多くの姫様方の内、司馬が最も心惹かれるのは宮崎駿作品の「風の谷のナウシカ」に登場するナウシカでございます。
世界の行く末を思う時の静なる佇まいと、それと対照的なアクションシーンでの躍動。知性とカリスマ性、なによりも慈悲の心の深さ。
理想的な姫様の一人ではないでしょうか?

 

では、姫様・殿下。
お屋敷でお会いするのを楽しみにしております。
三月後半には、ティー・サロン開館記念のアニバーサリーも控えております。
穏やかな暖かさに包まれる日々も、だんだんと増えてまいります。
春の訪れを快活にお過ごしくださいませ。

 

えっ?立春・・・

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

二月の初めに迎える二十四節気のうちのひとつ、立春。
今年はなんと、百二十四年ぶりに、三日がその日にあたります。
というのも、春分の定義は、太陽が真東から昇る日ということでございますので。
地球の自転と暦の関係から、わずかではあっても、このような変動が起こってしまうのですね。

 

この世に生をなしてから、ずっと変わってはおりませんので、立春は四日とばかり思いこんでいました。
そもそも、季節の行事がずれることなどは完全に思案の外、まったく意表を突かれたとはこのことで・・・。

 

・・・あ、ということは。
大変です!すっかり失念しておりました。
今年は節分も一日早まって、二日になるということでは?
これは、本当に一大事でございます。
こうして筆を執っている時間もあまりございません。
豆まきの準備や、恵方巻の用意を急がなくては!
果たして、いまから間に合いますでしょうか。

 

というわけで、今回はこの辺りで失礼させていただきます。
もし、もしも、でございますが、お屋敷での節分のご用意が不十分でございましたら、これは司馬の不明の為す所。
どうか、他の使用人たちを責めないでやってくださいませ。

 

では、暦の上ではようやく春を迎えることとなりますが、むしろ寒さの頂点はこれからやって参ります。
どうぞ、ご油断なさらずに、暖かな陽射しがやって来る日々を、もう少しだけお待ちくださいませ。

蛇・蛇・ジャ~ン

司馬でございます。

 

皆様、明けましておめでとうございます。
楽しい新年をお迎えでございますか?

 

さて、今年の干支は「巳」。
蛇という生物は、その異形さのためでしょうか、どちらかといえば不気味な存在と捉えられていることが多いようでございます。

 

ホラー映画、パニック映画などでも物語の障害として、たびたび印象的な登場を致します。
パッと思いつくただけでも、冒険活劇の「インディ・ジョーンズ」シリーズ、航空パニック映画の「スネーク・フライト」、そしてタイトルもずばりな、巨大動物ホラーの「アナコンダ」などなど・・・。
おっと、新年を飾るには、いささかふさわしくないタイトルばかりを並べ立ててしまいました。

 

異形、ということは即ち、常ならぬ物を象徴することでもございます。
二匹の蛇がお互いの尻尾を吞み込んで、円環を形作る「ウロボロス」というシンボルがございますね。
円形は、始めと終わりが一致すること、いいかえれば始めもなく終わりもないことから、完全、永遠、不滅と見なされておりました。
ミヒャエル・エンデの名高いファンタジー小説の「はてしない物語」では、“アウリン”という名で、そんなウロボロスが登場し、主人公を導く魔法の道具のような役割を果たしておりました。
そのような不思議な魔力と魅力を持った蛇の年。
なにか神秘的なことが待っているかもしれません。

 

蛇は、脱皮して成長する特性もあることから、新たなる始まりや再生をも意味します。
それにあやかる、というわけでもございませんが、司馬もまた、新たな気持ちでお嬢様方にお仕えしていきたいと存じております。

 

どうぞ、本年も宜しくお願い致します。

年の瀬を迎えて

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

 

早いもので 、十二月となりました。 いよいよ師走でございます。
月並みではございますが、あっという間の1年でございましたね。

 

一年間、お嬢様方に無事お仕えが叶いまして、司馬は幸いでございました。
お嬢様方は楽しく、豊かな一年でいらっしゃいましたか?

 

もし・・・。
今ひとつ、という方がいらっしゃいましたら。

 

ご心配なく、まだ、あと1ヶ月もございますよ。
まずは、楽しいクリスマスをお迎えくださいませ。

 

さて、なにかと身の回りが忙しくなる時節でございますね。
お嬢様方におかれましても、公私ともども慌ただしくなるかと存じます。
あまりご無理なさらず、体調をお崩しならぬよう御自愛くださいませ。

 

では、少々 気が早うございますが、どうぞ良い新年をお迎えくださいませ。

夏と冬の間

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

つい先日まで夏日が続いたかと思うと、あっという間に冬の気配が忍び寄って参りました。

・・・たしか、夏と冬の間には“秋”という季節があったはずでございますが、気のせいだったのでしょうか?

 

あまりにも長く暑い夏のせいで、秋の影が薄くなってしまった感がでございます。
なにか寂しさを覚えてしまいますね。

あっ。
いま気づきました。
この寂しげな気持ちこそ、“秋”そのものではございませんか。

目を凝らしてみると、やはり季節の移ろいの印は、どこかに見つかるものなのでございますね。
これから、木枯らしなども吹き、だんだんと紅葉も色づいてくることでしょう。
これもまた、秋の風物でございます。

気の早い話ではございますが、わずか一月後には年の瀬も迫り、いろいろと慌ただしくなって参ります。
夏と冬の間は本当に短すぎますが、この十一月くらいは、お嬢様方ものんびりとお過ごしになって、小さな秋を愛でてくださいませ。

 

では、冬の足音ももうすぐそこに来ております。
お嬢様方にお寒い思いをさせぬよう、早いうちに、厚手のお召し物と、暖炉の準備をそろそろ始めましょうか。

ホラーとお酒を

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

 

秋の風がようやく心地よく感じられるようになって参りました。
十月、といえば皆様も大好きなハロウィンシーズンの到来でございますね。

海外では、闇の力が増大するハロウィンの夜にちなみ、多くのホラー映画が上映されます。

 

では、このシーズンにぴったりな、司馬お勧めの怖い映画をご紹介いたしましょう。
断然、スタンリー・キューブリック監督の傑作「シャイニング」でございます。

 

人里離れた巨大なホテルの施設管理を任された父、そして、その父に連れられて、一緒に冬を過ごすことになった妻と息子三人の物語でございます。
売れない小説家の父は、人生逆転の傑作を書こうと、このような孤絶された環境に身を置くのですが、そこは、かつて忌まわしい事件のあった曰くのあるホテルでございました。
そして、小説執筆に行き詰ってしまった父は、やがて狂気に憑かれ、過去の事件をなぞるように妻と息子を・・・。
といったあらすじでございます。

 

スティーブン・キングの原作は、どちらかといえば正統的な幽霊屋敷譚の趣がございますが、映画で暗躍する死霊たちは父の狂気が見せた幻覚のような描写で、そこがさらなる恐怖を感じさせます。
特殊な能力を持つ息子が、その力を発揮するシーンでは、未来に起きる惨劇を幻視します。
その時に、彼の口から繰り返し呟かれるのは「レッドラム」という不吉な響きのある言葉。

 

そうです。
この言葉と同じ名前が、お屋敷でご用意しております食後酒でございますね。
果たして、この「レッドラム」という言葉に秘められた意味とは・・・。

 

というわけで、マンゴー、パイナップル、ココナッツ、チェリーなど、ホラーとは対照的に甘美なテイストの「レッドラム」を満たした杯を手にし、ホラーな夜を体験してみるのも、ハロウィンらしい座興ではございませんか?
映画が恐ろしすぎて、ついつい酒量が増えすぎないよう、どうかご注意くださいませ。

 

「レ・・ド・・ラ・・ム・・。レッド・・・ラ・・ム」
「レッド・・ラム。 レッド・・ラム! レッドラム!! レッドラム!!!」

 

暑さ寒さも・・・

司馬でございます。
皆様、お健やかでいらっしゃいますか?

 

9月になりました。
―暑さ寒さも彼岸まで―。
と申しますように、夜分は肌寒さを感じることもございます。
日もだんだんと短くなって参りまして、ほんのわずかではございますが、秋の気配が忍び寄っているようでございますね。

 

お嬢様方におかれましても、やっと一息つかれることかと存じます。
しかしながら、そろそろ夏の疲れも出てまいりますので、どうぞご自愛くださいませ。

 

夏は終わりに近づいておりますが、博物館や美術館の夏季特別展などは、まだまだ開催中のところもございます。
木立を吹き抜ける、少しだけ涼しくなった残暑の風を感じながら、お出かけをお楽しみになるのも、一興でございましょう。

 

また、欧米では9月は新年度の始まりでもございます。
これを機に、お嬢様方もなにか新しいことを始められてはいかがでございましょうか?

 

司馬も、いままでは食わず嫌いだったジャンルの映画でも鑑賞してみようか、と考えております。
手始めに、思いっきり悲劇的な、涙が枯れるほどのラブロマンスあたりでも・・・。